導入事例インタビュー

熊本県 合志市様

公共施設のオンライン予約システムの取り組み

多くの自治体では、施設予約の受付が依然として窓口や電話中心で運用されており、職員の事務負担の増大や、利用者が施設まで予約に出向く必要があるなどの負担の大きさが課題となっています。利便性向上と業務効率化の両立に向け、2026年2月に施設のオンライン予約サービスを開始した合志市の古閑 尚也さま(合志市教育委員会 生涯学習課 生涯学習班 主査)にお話を伺いました。

古閑 尚也さま

古閑 尚也さま

市民の声に応える取り組み

―自治体が管理する施設の貸し出し受付は窓口で行うのが一般的ななか、オンライン化の検討を始めた経緯を教えてください。

合志市も昨年までは窓口のみで受付をしていました。市民の皆さまからは、近隣自治体のオンライン予約の事例をもとに、対応への要望が増えていました。

合志市としても職員の事務負担の軽減にもつながるので、オンライン予約の検討は毎年の検討課題になっており、準備が整って2026年に開始することができました。

合志市はオンライン予約に完全移行まではしておりません。高齢の方など、オンラインでの利用が難しい方がいらっしゃることを考慮して窓口での対応も残しています。

―オンライン化される前は、どのような状況でしたか。

受付窓口、市民の皆さま、双方に非常に大きな負担がありました。

受付窓口の担当者は申請書の受付、予約管理簿の更新をはじめ、記入不備への対応、空き状況の確認電話の応対など、多くの事務作業が発生していました。

毎月1日と15日が受付の基準日なのですが、先着順ということもあり、基準日の日は多くの市民の皆さまが受付窓口に並ばれていました。受付側は一通り受付をした後に事務処理を行うので、基準日は半日程度かかりきりになることも多くありました。

また、受付の際は書類だけでなく利用料金をお支払いいただくことが必要でした。やはり、お金を扱うのは心理的にも負担なので、オンライン化にあたっては、利用料金のお支払いまでオンラインで完結できることは必要不可欠でした。

市民の皆さまにとっても、施設を予約するために仕事を休んで施設に出向き、早くから並ばないといけないなどご負担をおかけする状況でした。

施設利用を紙で申し込む場合の各種申請用紙など

施設利用を紙で申し込む場合の各種申請用紙など

―合志市のホームページを見ると貸し出し可能な施設が30施設記載されています。オンライン化の前から利用は活発なのでしょうか。

施設の利用者は以前からとても多いです。例えば、体育館はイベント利用などで人気ですし、研修室の利用も多いです。

合志市総合体育館(合志市ホームページより)

合志市総合体育館(合志市ホームページより)

重視したのは使いやすさと準備工程

―合志市はリモートロックジャパン社とJ:COMの共同提案をご採用いただきました。オンラインで施設予約をできるサービスを提供している事業者はいくつかありますが、この共同提案を評価された点を伺えますか。

事業者を選定するタイミングでは私は直接の担当ではなかったのですが、サイトの見やすさ、使いやすさは査定の大きなポイントにしていたと思います。

幅広い年代の市民がいらっしゃるので、見やすい、予約がしやすいといった点は大事です。

また、サービス導入にあたっては、多くの施設を対象にできることもポイントでした。合志市は多くの施設を有しています。この施設はオンラインで予約できるけれど、この施設はオンライン予約には対応していない、といったことがあると、市民の皆さまが混乱したり、かえってご迷惑をおかけしたりする可能性もあると考えました。

―多くの施設で一気に導入するというのは、準備も大変ですね。

はい。管理運用する施設には、外部の方に管理人として窓口対応をお願いしている施設もあります。そうした施設では、窓口対応される方がご高齢で、オンライン予約の仕組みを理解してもらって窓口対応していただくようになるにはハードルがありました。

サービス事業者を選定するにあたっては、私たち市の職員や施設の管理をお願いしている方々への研修などのフォローを十分に行っていただけるかを重視しました。

―サービス開始に向けたトレーニングや準備を重視されたということですね。実際の準備段階の取り組みはスムーズだったでしょうか。

施設の管理人の方からは私たちの気づかないようなポイントの疑問があがったりします。それらへの対応に加えて、施設ごとにローカルルールで微妙に運用が異なっていたので、整理していくのが大変でした。

例えば学校の施設には学校の運用ルールがありますが、オンライン化することで全体として便利になるというところで理解していただきました。改めて運用手順を見直すよいきっかけにもなりました。

―施設予約をオンライン化するにあたり、市民の皆さまへの周知も大切だったのではと思います。施策開始にあたってのプロモーションを教えてください。

チラシ、ポスター、ホームページ、広報誌などで呼びかけました。思った以上に取り組みを認知していただき、積極的に利用登録をしていただきました。

チラシなども分かりやすさを高めるために色々と工夫したので、施策が市民の皆さまにご理解いただけたのは良かったです。毎日のように利用登録者が増加している状況です。

オンライン予約ができることを知らずに施設の窓口にお見えになった場合も、実はオンラインで簡単に予約できるんですよとお伝えすると、次回の予約からはオンラインで予約されるようになるので、オンライン予約の利用率は日々高まっています。市民の皆さまに少しずつオンライン予約に慣れていただいて、究極的にはオンライン予約率100%を目指したいですね。

オンライン予約システムを広報するチラシやポスターなど オンライン予約システムを広報するチラシやポスターなど

オンライン予約システムを広報するチラシやポスターなど

―オンライン化を推進するにあたって、行政内の理解はスムーズだったでしょうか。

この施策を入れたことによる費用対効果、例えば自分たちの人件費がどうなるのか、業務がどの程度削減されるのか、などの試算を行って理解につなげました。

実際に施策を開始した結果、窓口での受付が大幅に減少するなど、当初の想定通りに推移しています。施策の効果をポジティブに受け止めている方が多いです。

利便性と業務効率の両立へ

―システムの導入から3カ月程度が経過しました。運用は順調でしょうか。

細かな課題は時々発生しますが、日々対応できています。大きなトラブルはなく、順調に稼働しています。

―利用されている市民の皆さまのご意見はいかがでしょうか。

高齢の方は苦手意識といいますか、難しいとおっしゃる方は一部いらっしゃいます。そうした方へのサポートは今後とも重要です。

全体としてみた場合、施設の予約のために窓口に来られる方や電話での問い合わせは大幅に減りました。

予約のために施設に出向かなくて済むようになったので便利になったというお声は若い方を中心に多くいただいています。

先ほどご説明した基準日の行列もなくなり、ほとんどがオンラインで予約されるようになりました。かなり多くの利用者がオンライン予約に移行しています。

―市民の方から使い勝手を評価されているということは素晴らしいですね。施設の利用率に変化はありましたか。

まだ取り組みが始まったばかりということもあり、半年、1年とみていく中で数字も確認していきたいと思っています。

―施設の利用は市民の方が中心とは思いますが、市外の方の状況はいかがでしょうか。

実は以前から市外在住で合志市の施設を利用されている方も多くいらっしゃいます。そうした方は施設を利用する際にポスターなどで施策を知っていただき、多くの方が利用者登録をしてご利用いただいています。

課題と将来に向けた取り組み

―サービスは多くの方に好評ということが理解できました。一方で、課題はありますか。

オンライン経由なので、市民の方の環境によっては上手く予約できない、予約のメールが届かないといったお問い合わせが時々発生します。そうしたお問い合わせは受付窓口の方から私のところにエスカレーションされてきますが、一緒に解決するなかで、一度対応方法が分かると次回からは窓口で完結できるようになるので、エスカレーションされるケースも減っています。

もっと色々トラブルがあるのかなとは想像していたのですが、そうしたこともなくスムーズに稼働できていると思います。

―対象施設を広げるなど、将来的に検討されている取り組みがあれば教えてください。

一部、利用いただくにあたって事前の審査が必要になる施設があり、それは将来的にも現在の運用を続けます。それ以外の施設はすべてオンライン化ができています。

この施策は開始して4カ月程度なので、今後、改善すべきポイントを把握して取り組みを図っていきたいと思います。

―オンライン化を検討している他の自治体の方にアドバイスがあればお願いします。

地域性はポイントだと思います。地域の利用の在り方や施設独自のルールを踏まえた施策にできるかどうかが大事ですね。合志市は施設も多いので、事前の準備で1つずつ課題への対応を丁寧に行いました。準備をしっかりできれば、すごく効果のある取り組みになると思います。

―本日はありがとうございました。

インタビュアー

井上 大輔

JCOM株式会社
井上 大輔

合志市の「まちかぎリモート」は、J:COMとリモートロックジャパン社が共同でご提案し、ご採用をいただきました。
J:COMは市民の皆さまに向けたチラシやポスター、ガイドブックの制作をはじめ、コミチャンでの取材も行うなど、取り組みを知っていただくためのご支援にも力を入れたことが高い利用率の一助になっていれば嬉しいですね。

※記載の内容は取材時(2026年5月)の情報です。