「大阪市中央公会堂×
J:COM インタビュー企画」
第2回:J:COM 担当社員インタビュー
「動き出した運営の手応え、そして次なる一歩」
J:COM担当者が語る「大阪市中央公会堂」プロジェクトの今
ジェイコムマーケティング株式会社 庄司 岳憲
このインタビュー企画は、全6回シリーズでお届けします。
J:COMが公共施設の指定管理者として初めて管理・運営を担う「大阪市中央公会堂」の採択から、施設がどのように変貌・進化していったのか、その道のりをリアルタイムに追いかけます。
第2回となる今回は、J:COMが指定管理者として運営を始めてから見えてきた成果や課題を振り返りつつ、活動をさらに広げていくための次なるステップ、そしてその取り組みに込められた担当者の思いをご紹介します。
▶ 第1回:J:COM 担当社員インタビュー「採択までの道のりと、描いた未来」
「使う場所」から「訪れたくなる場所」へ。
指定管理1年目、大阪市中央公会堂が目指すこれからのかたち。
― はじめに、庄司さんの自己紹介をお願いします。
ジェイコムマーケティング株式会社に所属しており、現在は大阪市中央公会堂(以下、公会堂)の運営管理責任者(以下、責任者)を務めています。
― 公会堂の担当者になったきっかけと、その知らせを受けたときのお気持ちを教えてください。
きっかけは、2024年の年末に館長の奥田から呼ばれ、「来年1月1日から公会堂の準備に入ってほしい」と伝えられたことでした。その後、1月から3月までの3カ月間、運営管理に向けた準備を進め、2025年4月より大阪市中央公会堂の運営・管理に正式に携わることになりました。
弊社が公会堂の運営・管理を受託したことは認識していたものの、まさか自分がその責任者を務めることになるとは思っておらず、最初に聞いたときは本当に驚きました。ただ、その気持ちはすぐに「新しいことへの挑戦」というワクワク感へと変わっていきました。どのようにしたらこの公会堂をより良く運営していけるかを考えながら、新しい環境に向き合っていったことを覚えています。
― 運営開始から今日までの道のりを一言で表すと、どのようになりますか。
一言では表しきれませんが、「常に改善の積み重ね」だったと思います。運営を実際に始めてみると、「別のやり方のほうが良かったかもしれない」と気づく場面が多くありました。これまでの指定管理者の方が、長年の経験をもとに築いてこられた仕組みをどう活かし、さらに良い形へとアップデートしていくか、その見極めがとても難しかったですね。
過去の良いものを、ただ引き継ぐだけでなく、より良くしていくにはどうすべきか。これは常に考え続けてきたテーマでした。
― 立ち上げ前と後で、「想定と現実」に最も差を感じた点はどのようなことでしたか。
立ち上げ前は、(運営)メンバーの約8割がJ:COM各局で営業に携わっていたこともあり、指定管理業務におけるお客さま対応はある程度できるだろうと考えていました。しかし実際に業務を始めてみると、日々の運営を支える事務作業が多く、加えて高い正確性が求められました。そうした業務の幅広さと求められる正確性は、当初の想定よりも難しく、戸惑いが大きかったですね。
― 立ち上げ初期の数カ月で、特に苦労した点を教えてください。
4月1日の立ち上げから最初の1週間は本当に慌ただしく、前事業者さまから引き継ぎは受けていたものの、実際の運用を自分たちの体制だけで行うのは初めてだったため、戸惑う場面が多く非常に大変でした。
たとえば受付業務では、対応に慣れていなかったこともあり、本来であれば1~2名で対応できるところに、気づけば5~6名が集まってしまうこともありました。試行錯誤を重ねる中で、ほかのスタッフの工夫やうまくいった事例を見て学びつつ、どうすれば無駄なく動けるのかを模索し、改善を重ねていったことをよく覚えています。
さらに、公会堂は月1回の休館日を除き、毎日9時半から21時半まで開館しているため、全員がシフト制で業務にあたる必要がありました。そのため、全員が同じ時間帯の業務を経験できるわけではなく、情報共有の仕組みや、スタッフ間でスキルを均等に身につけてもらう方法が大きな課題となりました。
そこで、メールによる連絡だけでなく、日常的に共有・確認できるフォーマットを作成し、全員が情報を確認できる体制を整えました。朝出勤すると、まず前日の引き継ぎ内容を丁寧に確認。その上で、その日一日を通して、朝・昼・夜それぞれのシフトで確実に引き継ぎを実施することで、スタッフ間のコミュニケーションをより強化することができました。この仕組みを構築できたことが、大きな鍵だったと強く感じています。
― 現時点までで示せる数値の成果があれば教えてください。
数値として示せる成果としては、利用料収入が2006年以降、過去最高益を達成したことが挙げられます。
2025年は、大阪・関西万博(正式名称:2025年日本国際博覧会)が開催された年でもあり、その期間中に台湾政府に約1カ月半にわたり、公会堂を大規模にご利用いただきました。通常、夏場は暑さの影響で公会堂の利用率が大きく落ち込む傾向がありますが、この特需によって利用率が大幅に向上し、収益面でも非常に大きな効果をもたらしました。
さらに、これまで昼間のみ実施していたガイドツアーを夜間にも拡大し、新たにナイトツアーとして企画・実施しました。これにより参加希望者が増え、これまで来館されていなかったお客さまにもご参加いただけるようになりました。結果として、収益面だけでなく、利用者層の広がりにも寄与したと感じています。
― 予想外に効果が出た取り組み・工夫があれば教えてください。
1年目は、「適正に運営するための基盤を整えること」が最も重要でした。その中で特に成果があったのが、オペレーションのデジタル化です。
これまで、日々の業務には紙ベースのやりとりなど、アナログな手法が多くありました。たとえば事務所内のスケジュール管理は、ホワイトボードに手書きで記入していました。こうした手法を全面的に見直し、システムを導入して、スケジュール管理をデジタル化しました。現在は、タッチパネル式のサイネージ(電子案内板)に、施設の利用やイベントなどの予約内容を一覧で表示し、利用時間や、スクリーン・マイクなど必要な備品の数や配置場所、終了時間といった情報をリアルタイムで確認可能になりました。この仕組みに移行したことで、業務の抜け漏れ防止やスタッフ間の連携強化につながり、想像以上の効果が出ています。
今期はこのように「内部オペレーションのデジタル化」を中心に取り組んできましたが、来期はさらに一歩進め、お客さま向けサービスのデジタル化にも着手する予定です。現在検討しているのは、案内板のデジタル化に加え、これまで電話予約が中心だった受付をインターネット予約へ移行することや、ホームページ上で24時間質問に対応できるチャットボットの導入、さらに電話対応にIVR(自動音声応答)を導入することなどがあります。こうした取り組みを通じて、より便利で利用しやすい施設運営を目指していきたいと考えています。
― 利用者からの声や変化は何かありましたか?
利用者の方からは、私たちが指定管理を担うようになって以降、「以前より使いやすくなった」というお声を頂戴しています。特に、ニーズに対して柔軟に対応しながらサービスを提供できている点を評価いただいていると感じています。
利用しやすさの向上を図る一方で、公会堂は重要文化財でもあるため、適切に守っていくことは私たちの重要な責務だと考えています。そのため、使用ルールについてはきちんとご説明したうえで、お客さまに快適にご利用いただくとともに、この公会堂を今後も大切に守り続けてまいります。
― 今後の予定や目標があれば教えてください。
約1年間にわたる当社の指定管理運営を踏まえ、2026年1月下旬から3月中旬までの約2カ月間、利用者アンケートを実施しました。その結果、特に多く寄せられたご意見として、場所によって携帯電話やWi‑Fiの電波が届きにくい点が挙げられました。
この課題に対しては、地下1階の会議室にフリーWi‑Fiの導入を順次進めています。これにより、来館されるお客さまの利便性向上や、サービス品質の向上につながるものと考えております。
中長期的な目標としては、自主事業の充実を掲げております。具体的には、公会堂オリジナルグッズの販売や、公会堂独自のイベントの企画・実施を予定しております。これにより、公会堂を単なる施設利用の場としてだけでなく、その歴史や価値に触れ、訪れること自体が楽しみとなる魅力的な拠点として、より多くの方に知っていただくことを目指しています。
公会堂の新たな取り組みとして、取材当日に搬入されたグッズ販売用自動販売機
今後は、観光的な要素や体験型の取り組みも意識しながら、公会堂の価値向上と地域への波及効果につながる事業展開を進めてまいります。ぜひ、今後の取り組みにもご期待いただければと思います。
― 担当者として、このプロジェクトに携わった"やりがい"について教えてください。
本プロジェクトに携わる中で最も大きなやりがいを感じている点は、国の重要文化財である公会堂を維持管理するだけでなく、"運営"に関われていることです。歴史的価値の高い施設を守りながら、より良い活用を目指して試行錯誤を重ねる中で、運営の考え方や改善のプロセスをスタッフ全員で共有し、一体となって取り組めたことに、大きな手応えとやりがいを感じています。
また、(運営)メンバーから「公会堂の勤務に就けて本当にうれしかった」という声を聞いており、担当者として、この仕事に携わる意義ややりがいを改めて感じています。
今後も、スタッフ一同が同じ思いを共有しながら、来館されるお客さまにとってより良いサービスを提供できるよう、運営の改善と工夫を継続してまいります。
― 庄司さんの公会堂オススメスポットについて教えてください。
私のオススメスポットは、今回の取材に使用している「小集会室」です。公会堂といいますと、3階にある「特別室(貴賓室)」が非常に有名で、テレビなどでもよく取材される場所ではあるのですが、この小集会室も実は特別室とほぼ同じくらいの広さがあります。
その中で、小集会室ならではの魅力として挙げられるのが、照明の明るさや、部屋全体に漂う厳かで落ち着いた雰囲気です。豪華さや華やかさというよりも、静かで品のある空気感があり、ほかの部屋にはない独特の魅力を感じられる空間だと思っており、オススメしたいスポットのひとつです。
― 最後に、記事をご覧いただいている方に伝えたいメッセージがあればお願いします。
J:COMは、公会堂の指定管理者として5年間の運営をお任せいただいております。その中で、1年目となる今年は、「どのような形で公会堂を管理・運営していくのが最適か」を模索しながら、日々試行錯誤を重ねてまいりました。今後はその経験を踏まえ、より良い環境を皆さまにご提供できるよう、ガイドツアーや各種イベントの企画・実施、オリジナルグッズの展開、観光的な新たな取り組みを含めた新たな取り組みにも積極的に挑戦していきたいと考えております。
また、公会堂が持つ魅力や歴史的価値についても、さまざまなメディアを通じて、より多くの方にお伝えしていければと思っています。ぜひ一度、公会堂へ足を運んでいただき、その魅力を実際に感じていただければ幸いです。
※本記事の内容は、2026年4月1日時点の取材情報に基づいています。